★アンジェリーナ・ジョリーがアクション映画で11年ぶりに選んだのはテイラー・シェリダン監督の作品であった。役作りとして森林消防隊員に取材を申し入れたという。伝統的な90年代のスタイルを維持しつつ、監督の持ち味を活かした質の高いアクション・スリラー映画だと評論家からの好評価を得ている。一般的にも注目度が高く、レビュー評価も上々です。
※世界のアチコチで山火事が起こっています。今作にはリアルに沿った山火事の映像や逃走劇、殺し屋も登場し暴力的なシーンも含まれております。鑑賞にはどうかご注意下さい。
そして被害に合われた方、ご家族…関係者の皆様。
どうかご自愛くださいませ。
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視聴した作品は…
モンタナの目撃者
Those Who Wish Me Dead
監督=テイラー・シェリダン氏
脚本=テイラー・シェリダン氏
マイケル・コリータ氏
監督が掲げるテーマ
①生き残りを賭けた戦い
②葛藤する少年
③贖罪を背負う女性の物語
原作=マイケル・コリータ氏
「Those Who Wish Me Dead」の小説が原作となっている。原作者曰く「テイラー監督は本作に適任だった。感性も共感できるし、どう映像化すべきか熟知している」と称賛している。
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2021年・114分
Amazon prime videoより
現在prime会員は無料で視聴が可能です。
(会員でも一部地域の方は視聴出来ない可能性があります)ご注意ください。
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おおすじ
★登場人物(吹替)
森林消防隊員のハンナ・フェイバー★アンジェリーナ・ジョリー(本田貴子)は、過去に体験したあるトラウマに悩まされている。後悔に苛まれ、目や耳に焼き付いた記憶に藻掻いていた。
ある日、のどかなフロリダの住宅地に住む検事宅が突然爆発した。在宅中の検事とその家族に生存者は無し。寸前に2人の男が出入りした事は誰も知らない。
少し早めの思春期に突入した少年と父親がいつもの朝を迎えていた。📺ニュース番組の映像に、父親の顔色が変わる。平常心を装うが、余計に挙動不審に見えた。
車に乗り込み学校に向かっていたが、急に進路変更し息子に学校を休む事を告げると、息子の携帯を取り上げた。勘の良い少年は「何をしたのか?」と父親に尋ねる。「正しい事」をしたと言う父親は、何かにとても脅えていた。
その頃ハンナはスモークジャンパーの仲間と、新人たちを魚にしてアルコール⁈をたしなむ。一癖も二癖もある連中の中にスッカリ馴染んでいるのに、意にそぐわない異動の件で自暴自棄気味。
イーサン・ソーヤー★ジョン・バーンサル(坂詰貴之)山岳地帯の管轄を受け持つ保安官で、妊娠中の妻=アリソン・ソーヤー★メディナ・センゴア(阿部彬名)ともども元カノのハンナと親しい。故に彼女の力になろうとしていた。
その頃…父子の家には暗殺者たちが踏み込んでいた。一足早く家を出た選択は正しかったのだ。そのまま逃避行へ出発。家中の痕跡から宝物探しをしている。流石にプロ…数分で手がかりに辿り着く。
父親は訴訟会計士。筋を通らない事を捜す仕事だ。何かを見付けた事が原因となり、雇い主が今日命を落とした。父親は、出来るだけ少年に分かり易く説明をする。理解した少年は黙って従った。
ハンナは昼夜を問わずトラウマに苛まれる。あの日…急に風向きが変わって炎に退路を断たれ、パニックになった仲間は火だるま。目視できる要救助者が助けを呼んでいるのに、助けられず…その光景が目に焼き付き、助けを呼ぶ少年たちの声は耳に残っている。あまりに残酷なシーンだった。
そんな状況の中から生還したのに…僅か3日後に精神鑑定を受けさせられ、数値が悪かったとして今回の異動に至る。「上の連中は誰かに責任を推し付けたかっただけ」とイーサンは慰めてくれるけど…ハンナの罪悪感は消えない。そんな時監視塔から雷を確認。既に傍まで来ており、間一髪直撃を避けたかに見えたが…それなりの怪我を負ってしまう。
緊急事態でない限り、反抗期の息子と長期のドライブなんて叶わなかっただろう…。しかしこれから起こる悲劇に向けて、思い出のロスタイムだったのかもしれない。
先回りしてポイントを捜す殺し屋は、ジャック・ブラックウェル★エイダン・ギレン(上田燿司)とパトリック・ブラックウェル★ニコラス・ホルト(鈴木崚汰)の兄弟だ。雇い主が金をケチり、思うように仕事が捗らずイラつく兄。完璧にあと一歩足りない。
父子の別れは突然にやって来た。意表を突かれた銃撃に、車は崖下へ転落し無事だった少年は、父親の最後を目撃する事になる。少年は父親との約束を果たす為に川沿いを必死で進む。
ハンナが少年を見付け、監視塔へ連れて戻ると…雷のせいで機材は全滅。歩いて下山するしか方法がない。ハンナは冷静に状況を整理したいと少年に伝えた。すると父親から預かった手紙を読み、状況を把握。直ぐに監視塔を出発する。
ハンナの元へ向かうイーサンが2人の被害者を見付け、30分もしないうちに捜査が開始される。被害者の中に少年が発表されていない事から、ブラックウェル兄弟は依頼者にはっぱをかけられ後が無い。契約は完全なる隠滅。父親が少年に託した物は、依頼人達を破滅させる証拠らしい。
恐怖しかない鬼ごっこが始まる…その前に。暗殺兄弟は…暫く気を反らせると称し、周囲に火をつけた。あっという間に山火事は広まって行く。
イーサンは事故現場でオーウェン・キャサリー★ジェイク・ウェバー(木下浩之)の息子の存在を知り、同乗していたハズの息子=コナー・キャサリー★フィン・リトル(松本沙羅)を捜し始める。しかし、先に見付けたのは山火事の方だった。
この時既に山火事は猛威を振るい、勢いを増して行く。後にハンナたちの弊害になる程の大惨事に展開する。意外にも賢い暗殺兄弟の追手も忍び寄り、父親が命をかけて守りぬいた「秘密」をコナーも守りたいと誓う。そんなコナーをハンナは守り抜く決心をする。
方向性が其々決まり、行動し始めた頃、暗殺兄弟はイーサンが留守のソーヤー家に押し入っていた。アリソンが応戦している事が分かったイーサンが駆け付けたが、逆に拘束されてしまう。
なんとか逃げ出したアリソンは、少年探しの頭数として連れていかれた夫を救出する決心をした。その間に広大なモンタナの大自然が、意志をもった悪魔のように燃え広がっていく。
ハンナは「今度こそ助ける!」トラウマとも向き合う事になる。一握りの人間たちを脅かす「秘密」の為に、小さなトラブルの積み重ねで収拾がつかない大惨事を招く。
アーサー・フィリップ★タイラー・ペリー
ベン★ジェームズ・ジョーダン(菊池通武)
ライアン★トリー・キトルズ(菊地達弘)
ティナ★ローラ・マルティネス=カニンガム
ヴィック★ハワード・ファーガソン・Jr(綿貫竜之介)
ほか
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まとめ
素朴な疑問ですが…伏線のように登場した「馬」は、助かっているのでしょうか?犠牲になってしまったのでしょうか⁈おおすじの前の細かい伏線が、メイキングで語られています。最後はフェイドアウトになるのかな?🙄
エンドロールの後に特別映像があるので、見逃し注意!です。残り時間14分35秒のメイキング映像が収録されています。ここでは撮影のNGシーンとかではなく、がっつり監督へのインタビューを始め★アンジェリーナ・ジョリーや★フィン・リトルのインタビュー。縁の下の力持ち!スタッフたちの想いが並びます。映画を鑑賞される方にはぜひご覧いただきたいシーンです。
物語の世界観・撮影の裏側・監督への信頼…。★アンジェリーナ・ジョリーの役に対しての理解度からだ。と、聞いて安堵しましたが、本当に彼女のボディーラインは心配になる程スリムです。どこからアクションに挑む力が湧いてくるのでしょうか?
監督だけでなく全てのスタッフが、彼女の意見が聞きたくて、自分の登場シーン以外にも撮影に付き添っていたと言う。ここはやらせでない事を切に願います。やはり好きな女優さんには素敵に輝いて欲しいファン心理です。
彼女はスタッフチームに任せられず、全て自分で映像をチェックして何かにつけて口を挟む。というような明らかにマイナスなイメージの動画を目にした事があります。故にメイキングでのスタッフとの関係性を見て安堵しました。
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メイキングからの抜粋
物語の世界観について…
観客が登場人物に共感できるように気を付けながら、自然に焦点を当てたかった。
撮影の裏側について…
リアリティを追求する為に本物を!と、モンタナでは無く、広大な土地を求めてニューメキシコで撮影が行われた。大自然を相手に5分おきに天候が変わる。計画通りの撮影は至難の業だった。(標高2700メートルでの撮影も含む)
実際に数年前、広範囲にわたって燃えてしまった土地の映像を使用。標高も高く泥だらけで疲労困憊。それでも背中を押してくれる人がいるから…泥と汗にまみれて初めての事にも自信をもって挑戦出来たと。そして…大抵の火だねは悪意を持った人間の仕業から、どんどん広がると人の手に負えなくなっていく…撮影を通して消防降下隊を心から尊敬する。彼らは危険と隣り合わせの仕事をしている特別な職業よ…と。アンジー(アンジェリーナ・ジョリー)は語る。
無駄がなく経済的。監督が手掛けると作り物ではなく真実味の有る生きた作品になる。まさしく脚本家であり監督だ。と、ベテラン俳優からも絶大な信頼を得ている。
また、監督は役者にも寄り添ってくれていた。的確な指示で難しい事にも挑戦し上手く結果が出せた
と一人前の役者として少年が語る。
実際に山火事の近くで撮影するのは、今回が初めてだった。映像を見ただけで本能的に危険だと感じる。120ヘクタールに110本の木を植え、撮影用の森を用意した。森林を破壊していないと、特殊効果コーディネーターはいう。病気にかかっていたり、処分目前のものしか使っていない。環境破壊にならないよう気を配りながら、本物の山火事を再現できた。
どの程度まで細部にこだわるかが大事。山火事の脅威を観客に感じてもらいたくて試行錯誤する。並行してCGも駆使したり周辺の地形を生かす方法を探った。視覚効果チームが臨場感を加えていく。
高さ18メートルの監視塔に至っては…高く見えるようにCGを使い、テッペンの小屋は別に作られた。監督が拘ったのは自然の光が差し込んでくる事。ニューメキシコの砂漠に2メートルの監視塔。小屋の外が見えるシーンは背景を差し替えた。
暴力的なシーンについて…
どの格闘シーンも真に迫っている。アクションが目的ではなく、しっかりとした動機がある(人間の暴力性と闇)監督は誇張はせずにリアリティーを追求した。
暴力的なシーンがリアルに描かれてる…それでいい。映像化する事が大事。登場するどちらの女性も酷く傷つくが反撃している。激しく痛めつけられるほど乗り越えるパワーも要る。苦しみが大きい程得るものも大きいとアンジーは言う。
アンジーについて…
どんな事にも負けじと立ち向かい、何でもこなしてくれる。彼女のアイデアは素晴らしくて、出来る限り作品に関わってもらうようにしている。役柄の個性、複雑な内面を理解し、身体能力も申し分なく全てを兼ね備えている。出演を拒否されなくて良かったよ。作家の理想は登場人物の内面を理解できる役者に表現して貰う事だと称賛されている。
接点も無く出会うはずのない人たちが予期せずして出逢い、運命を共にする。そして影響を与え合いお互いを変えていく。「真の友情」「愛と献身」がとても美しい。是非お見逃しなく🍀
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おまけ
エンドロールの最後に…
よき友 優れた音響編集者
アラン・ロバート・マレーに捧ぐ
を見付け、2021年2月に66歳没を知りました。ご冥福をお祈りいたします。過去に私が鑑賞した…彼が参加した映画の中から抜粋しました👇次回視聴の際は、音響に注意して観たいと思います。
1996年 イレイザー
2006年 硫黄島の手紙
2016年 ハドソン川の奇跡
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最後まで読んでくださり
ありがとうございました。
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